防災の誘致

(2026.10.17 No.230)
10月8日に内閣官房より「防災局の業務の在り方に関する検討会(第1回)を開催」という発表がありました。 [内閣官房防災庁設置準備室]
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bosaikyokukentokai/index.html
防災庁が本年11月2日付けで発足しますが、その下部に地方機関である「防災局」が設置される予定です。
この検討会はその組織体制の在り方等について外部識者の意見を聴く会です。
●スケジュール
これまでの時間経緯とこれからの予定を整理しておきます。
| 2025年12月26日 | 「防災立国の推進に向けた基本方針」閣議決定 |
| 2026年7月17日 | 「防災庁設置法」公布。 地方機関である防災局を2年以内に設置することが決められた。 |
| 2026年9月30日 | 「防災庁設置法の施行期日を定める政令」の公布。 これにより11月2日に防災庁が発足することが決定。 |
| 2026年10月~年度内 | 検討会において地方機関の業務等の検討 |
| 2027年春~夏 | 地方機関の具体の設置場所の検討 |
| 2027年夏 | 地方機関の具体の設置場所の決定・公表 |
| 2027年秋以降 | 設置に向けた手続・拠点の整備 |
| 2028年7月16日まで | 地方機関の設置 |
●検討会の役割
この検討会は今後5回程度開催され、2027年2月頃までに地方機関の業務等について議論のとりまとめがおこなわれる予定です。
そして2027年度に入ってから具体的な地方機関の設置場所を検討し始め、2028年7月までに地方機関を設置するとしています。
検討会で議論するテーマは大きく二つ置かれています。
①防災局は何をするのか?
・地域における事前防災や災害時の対応に関して担うべき業務
※日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震及び南海トラフ地震の防災対策の推進の観点を踏まえて検討
・本庁や自治体、防災関係機関等との役割分担 等
②防災局の体制、設置場所など
・望ましい防災局の組織・体制
・望ましい立地などの条件 等
●結局、どうなるのか?
防災庁の発足は、会社でいえば課から部への格上げのようなものです。それに応じて官職の名称も変わります。
今後は「防災大臣」-「事務次官」-等々という体制になります。職員も220名から352名へ増員されます[1]。
予算についても2027(令和9)年度は652億円を概算要求しており、今年度当初予算218億円から大きく増加しています。
●「勧告権」は生かされるか
もう一つの特色として「勧告権」が与えられました(防災庁設置法第8条)。
これは関係する行政機関に対して、防災上必要な措置を講じるよう正式に勧める権限を指します。
もちろんこれまでも具体的な施策について省庁などと連携してきましたが、強制力はありませんでした。
「勧告権」も強制力はありませんが、受けた側に”十分に尊重する法的義務”があります。
ただし勧告権はこれまでデジタル庁にも与えられていますが、十分活用されてこなかったとされます。防災庁においてもまだどのような場面で用いるか整理中です[2]。

●防災局の誘致合戦
当面の防災体制では、「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」と「南海トラフ地震」の2つを対象と考えています。
防災局は地方における司令塔役として、その2つの局を設置する予定です。
しかし下図のように東京を直撃する災害リスクも残されています。
防災庁本体はじめ霞が関官庁街が被災した場合も想定しなければなりません。

すでに国土交通省、農林水産省、厚生労働省、総務省には全国各地に災害時の拠点となる地方支分局が多数配置されています。
かといって防災庁予定の352名の人員では各地に防災局の地方支分部局を置くのは難しく、他省庁との分担を含めて現実的な防災局の役割について議論が必要とされています。
各所からの防災局への期待は大きく、”40以上の団体”から担当大臣へ要望が集まっているとのことです[3]。誘致合戦ですね。
検討会ではどこに局を設置するかも重要な検討課題になります。
また防災庁(予定)としても来年度の新人採用に力を入れています[4]。とてもやりがいのある仕事だと思いますので、意欲ある人に入ってもらいたいものです。
自分が被災したときには手厚い対応を国に期待しますが、その反面、全国の防災のために公の予算をどれほど費やすことになるか空恐ろしくなる気持ちもあります。■
[1] 第1回検討会資料4 防災局の業務に関する⽅向性・論点について https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bosaikyokukentokai/dai1/shiryo4.pdf
[2] 細野復興大臣・内閣府特命担当大臣記者会見録(2026年10月13日) https://www.reconstruction.go.jp/topics/26/10/2026101509573710020.html
[3] 細野復興大臣・内閣府特命担当大臣記者会見録(2026年9月25日) https://www.reconstruction.go.jp/topics/26/09/202609291433289981.html?utm_source=chatgpt.com
[4] 防災庁設置準備室(採用パンフレット) https://www.cas.go.jp/jp/saiyou/bousaichou_preparation/pdf/bousaichosecchijunbishitsu_recruitmentguide.pdf
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