クビ?

(2026.10.14 No.229)
10月13日に環境省より「クビアカツヤカミキリに係る情報収集システムの試行開始について」が発表されました。
https://www.env.go.jp/press/press_05662.html
●クビアカツヤカミキリとは
カミキリムシ科の外来昆虫である「クビアカツヤカミキリ(Aromia bungii)」は、サクラ、ウメ、モモをはじめとしたバラ科樹木を主に害する「特定外来生物※」として知られています[1]。
日本国内では天敵が存在しないため、人間が拡大を防ぐしかありません。
日本では、2012年に愛知県のサクラで初めて発見されて以降、2026年8月現在、22都府県で発生が確認されています。
ポスター[2]などはたいそうインパクトの強いもので、見たら忘れられません。
※2018年1月に外来生物法に基づく特定外来生物に指定され、原則として生きたままの移動や飼育等が禁止されています。

(体長22-38mm。図1のオス(左)のほうが体が小さく、触覚の比率が大きい。)
●農業被害の拡大
この虫による各地の生態系被害に加え、奈良のサクラや和歌山のウメ、福島や山梨、岡山のモモ等、主要な観光資源や農産物の産地にも甚大な被害をもたらす危険が迫りつつあります。
地元からの声を背景として、自由民主党が7月30日に農林水産省と環境省へ提言[3]を出し、さっそく7月31日に「クビアカツヤカミキリ対策本部」を発足させました。
すでに2022年度頃から両省は防除技術の開発や関係者向けのマニュアルなどを整備してきましたが、被害が拡大する前に集中的に取り組む必要が出てきたというわけです。
●発見・通報ネット
今回、発表された情報収集システムは「クビアカ発見・通報ネット」と仮称になっています。
地図上にさまざまな環境データをマッピングする「環境ジオポータル」[4]を使って、クビアカツヤカミキリの発見情報を表示していく試みです。11月末まで試行して、2027年4月からの本格運用をめざしています。

システムの特長は、ごく簡易な入力で誰でも気軽に情報提供できる点です。もちろん誤ったデータやいたずら等も出てくるでしょうが、データのネガチェックを実施して正しさを保つとしています。
こういうものは個々の精度よりもスピードと量が勝負になります。
●人海戦術
資料[3]には1ヶ月半の中で7万匹を駆除した埼玉県の事例が掲載されています。半分の3万匹のメスが各300個を産卵すると仮定して、900万個の産卵・羽化を防止できたと計算できます。この駆除に使った予算は700万円でした(1匹100円の奨励金)。1日当り千匹以上を捕ったことになります。
新しい薬剤が開発されることも期待しますが、やはり副作用も懸念されます。
発見・通報ネットと人海戦術の組み合わせで攻めるしかありません。
「カメムシ」(2023.04.17)で書いたように、多数の人を巻き込んで、集中的に駆除するのが効果的でしょう。
●ちょっとつまずく
クビアカツヤカミキリ対策本部の第3回会合は10月15日に予定されています[6]。
農林水産大臣がコケたので、どうするのでしょうね。
農水省の皆様、お疲れさまです。■
[1] クビアカツヤカミキリの関連情報のリンク集 https://www.env.go.jp/nature/gairai/info_kubiaka.html
[2] クビアカツヤカミキリのポスター https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/f_kubiakatsuyakamikiri_c.pdf
[3] 自民党「クビアカツヤカミキリ対策の強化に向けた緊急提言」 https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/213907_1.pdf
[4] 環境ジオポータル https://geoportal.env.go.jp/
[5] クビアカツヤカミキリ対策ダッシュボード https://geoportal.env.go.jp/apps/f665c5580df3406c9433ddba489b9e9b/explore
[6] 第3回クビアカツヤカミキリ対策本部の開催について https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/syokubo/261013.html
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