正直じいさん掘ったれば

(2026.09.20 No.223)
沖縄総合事務局は9月14日に「令和8年度第3回磁気探査研修(石垣市)の開催について」を公表しました。
https://www.ogb.go.jp/kaiken/4815/007583

●沖縄の不発弾
沖縄県では、今も戦争の生々しい記憶が残っています。
その一つである不発弾の処理問題も大きな負担になっています。

防衛省の資料[1]では、2025年度に自衛隊が処理した不発弾等は
 陸上で 1,655件(約37.4トン) うち沖縄466件(約11.5トン)
とありますので、1/3近くが沖縄に集中している印象です。
沖縄戦で使用されたという弾薬量20万トンのうち、1万トンが不発弾になり,まだ2千トンが埋没しているとの推測が出されています[2]。

つまり今のペースでは不発弾除去にあと百年はかかる計算になります。

●大惨事
1974年に那覇市の工事現場で戦時中の地雷が爆発して、不幸にも幼稚園児を含む4人が死亡、34人が重軽傷を負うという大惨事が発生しました。
これをきっかけに「沖縄不発弾等対策協議会※」が発足しました。

※沖縄総合事務局、陸上・海上自衛隊、沖縄防衛局、沖縄労働局、海上保安庁、沖縄県、警察、市長会、町村会、公益事業等が参加して、不発弾等の調査、探査、発掘、除去及び処分等に関する情報の交換と対策を協議検討しています。

●磁気探査研修
土地工事を開始する前に磁気探査機を使って不発弾の調査をおこなっておくのが事故防止のために有効です。
対策協議会に参加している市町村の職員や、工事を受注した民間業者、自分の土地を調査したい個人を対象として、磁気探査の研修を年数回実施しています。
2026年度の開催場所は那覇市、沖縄市、石垣市の3地区です。

研修は1日コースで、午前中に座学、午後は実際の磁気探査機を使った実技となっています。

図1. 磁気探査の実施イメージ([3]より引用)

●不発弾への対策
不発弾が見つかった場合には、耐爆容器・ライナープレート(防護板)の貸出もおこなわれています。これらの装置は周辺の避難範囲を大幅に縮小できる効果をもたらします。
沖縄では米軍5インチ艦砲弾の発見が多いようで、そのサイズに合わせています。

この他に「不発弾等事前調査データベースシステム※」[4]も作成されていて、工事前の確認に利用できます。

※磁気探査を実施したデータ、発見弾情報等から得られる発見場所や数量・弾種等を集計し、その結果をデータ一覧、地形図及び航空写真上に表示するもの。現在、安全上の配慮から一般公開はしていない(事前申込み制)。

図2. 不発弾等事前調査データベースシステムのイメージ([4]より引用)

●不発弾対策費用の問題
以上のように、不発弾の事前探査と発見後の処理については技術的に対応できるようになっています。

しかし問題はその費用です。
不発弾処理においては、
 (a)自衛隊は不発弾そのものの除去・処理、
 (b)市町村は発掘や周辺構築物の除去・保護、市民の安全対策等
という役割分担があります[5]。

さらに(b)のように地方公共団体が不発弾の探査・発掘事業を行った場合、政府は「不発弾等処理交付金」※を交付しています。

※原則として対象経費の2分の1以内、沖縄県については特殊事情を考慮して10分の9以内。

もし民有地で不発弾が発見された場合、上の(a)(b)は公的な機関が費用負担するように思われますが、国は、
 不発弾等に関する対策については、国又は地方公共団体による費用の負担を義務付ける法律は存在しない[6]
という態度です。
したがって必ずしも公費が出るわけではないということです。

現に[6]では、
 高崎市や西東京市などが全額を負担しているが、川崎市や神戸市などは土地所有者らに支払いを求めており、自治体によって対応が分かれている
と答弁しています。

上記の磁気探査についても、
 民間工事における磁気探査の実施については、施主の判断に任されており、経済的な問題等から十分に探査が実施されているとはいえない状況となっている[7]
という指摘がありました。

今の制度を前提とすると、
 裏の畑から 不発弾がザックザク
となって大損になりかねません[8]。■

[1] 防衛省統合幕僚監部「令和7年度における自衛隊の災害派遣及び不発弾等処理の実績について」(2026.07.15)https://www.mod.go.jp/js/pdf/2026/p20260715_01.pdf
[2] 沖縄不発弾等対策協議会「不発弾等処理対策便覧」(2026年8月改正) https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Kaiken/kyoku/kengyo/fuhatsudan/taisakukyougikai/R08/PDF_R08_taisakubinlan_1.pdf
[3] 沖縄県土木建築部「磁気探査実施要領の解説」(2020年1月) https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/336/r2_jikitansakaisetsu.pdf
[4] 不発弾等事前調査システム概要 https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Kaiken/kyoku/kengyo/fuhatsudan/chousa_database/H2901_dbsystem_gaiyou.pdf
[5] 4省庁事務次官等連名通達「陸上において発見された不発弾等の処理について」(1958年7月4日) https://www.npa.go.jp/pdc/notification/seian/hoan/hoan19580704.pdf
[6] 第200回国会 参議院「不発弾処理の費用負担に関する質問主意書」及び答弁書(2018年11月8日) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/200/toup/t200042.pdf
[7] 令和8年度第1回沖縄不発弾等対策協議会(2026年8月31日)資料5 令和8年度 埋没不発弾等処理事業実施計画(案) https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Kaiken/kyoku/kengyo/fuhatsudan/taisakukyougikai/R08/PDF_R08_3_00_gijishidai.pdf
[8] 花咲かじいさん(花咲爺)”裏の畑でポチが鳴く 正直じいさん掘ったれば 大判小判がザックザク”(作詞:石原和三郎)

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