柔軟な働き方
(2023.05.23)
5月22日に、男女共同参画局から「仕事と生活の調和推進のための調査研究~多様で柔軟な働き方推進に向けた企業の取組に関する調査~」が公表されました。
(https://wwwa.cao.go.jp/wlb/research.html)
「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022」(※1)の中で、「男性の育児休業取得の推進及び働き方の改革」が注目されているように、仕事と生活の両立においては多様な働き方の定着が必要です。
まず具体的な実例を参考にできるように、この調査報告では10社の事例を紹介しています。いずれもそれぞれの分野で名前の通ったブランド企業です。
●取り上げられた企業
次のような取組みを実践している企業を選び、ヒアリングを実施しました。
①転勤制度の廃止・縮小等
②配偶者の転勤等による退職者の就業継続支援
③フルリモートやワーケーション等場所にとらわれない働き方の実施
④社内外の副業・兼業
⑤週休3日制の導入等休日・休暇制度の柔軟化
企業によって取り組み方はさまざまで、上の5点をすべて実施しているのは2社にとどまります。
●苦労した点
制度を変えると、どこかにそのしわ寄せが生じます。それをどのように吸収するか、各社は知恵を絞っています。
しかも先進的な取組みは前例が少なく、企業の風土や業種によっても違いがあるので、担当者は毎度悩むことが多かったそうです。
●効果
業績向上という効果を挙げた企業は4社、経費削減の効果は6社にとどまりました。
それよりも離職率減少、従業員満足度向上、業務効率化などの項目で多くの企業が効果を認めています。
直接的効果というよりも、企業の基盤強化に役立つということでしょう。
●どのように拡げていくか
取り上げられた10社は、業績に余裕のある・なしにかかわらず、とにかく働き方を柔軟に変えて、人の定着をはかることを優先したのだと思います。
今や営業実績を上げようにも、人手不足が深刻になりつつあります。賃金を上げてもなかなか人が集まらないという状況のようです。企業活動にとって、人はなによりも大事です。
”急がば廻れ”のことわざのように、こういう働き方改革は長期的な取組みによって、従業員の信頼を得て初めて実現できるものでしょう。形だけ真似ても、定着しません。
各社の取組事例をみた中では、「休日/休暇制度の柔軟化」は費用対効果が高そうな気がします。休暇は従業員個人の生活に密着し、満足度が高くなる上に、企業にとって特別な費用はかかりません。一人一人が働き方の効率を考えるようになれば、週休3日にしても大丈夫だろうと思います。無駄な会議がなくなるだけです。■
※1 「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022(女性版骨太の方針 2022)」 https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/pdf/sokushin/jyuten2022_honbun.pdf