外交官

(2026.08.28 No.218)
外務省は8月21日に「外務省人材戦略」の策定を発表しました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_04070.html

国内に住んでいる限り、外務省にかかわることはほとんどないと思います。
とはいえ、外国から見た場合の「国の顔」となる役所ですから、基本的な知識は知っておいたほうがよいでしょう。
組織や人事に関係したいくつかの項目を拾い上げてみました。

●在外公館
外務省の職員として、世界各地に置かれた在外公館という拠点に約3,800人、東京霞が関の本省に約3,000人が働いています。
やはり外務省のイメージとして浮かぶのは世界各国にある大使館などです。
2026年3月時点での在外公館の数を下にまとめました。
兼館というのは他の在外公館の建物に同居しているという意味です。

大使館156兼館 39基本的に各国の首都におかれ、その国に対し日本を代表する。相手国政府との交渉や連絡、情報収集・分析、広報文化活動、邦人の生命・財産を保護するなどの活動。
総領事館67世界の主要な都市に置かれる。その地方の在留邦人の保護など大使館に準じる活動。
政府代表部11兼館 2国際機関に対して日本政府を代表する機関。
合計234兼館 41
領事事務所等20大使館や総領事館の出先機関として、特定の地方都市や地域に置かれる。
表1. 在外公館の現状(外務省在外公館設置状況を元に編集)

●「外交官」
冷戦下で形成され、平衡を保ってきた国際関係や体制が、最近、どんどん崩れている状況です。国連の組織すら存立が危うくなっています。

このような難しい時代の中で、外交の第一線で働く外交官にはわが国の平和と発展のために活躍してもらいたい、と一国民として願います。

「外交官」は、法律上は外務省の職員として在外公館で勤務している国家公務員(「外務公務員」)を指します。
「外務公務員法」では、外務公務員を次のように定義しています。

・特命全権大使(=いわゆる大使)
・特命全権公使(=いわゆる公使)
・特派大使
・政府代表
・全権委員
・これらの代理・顧問・随員
・外務職員(参事官、一等~三等書記官など)

●採用[1]
外務省に勤める国家公務員の処遇は他の省庁の公務員と何ら変わることはありません。
戦前から”外交官試験”という独立した採用試験制度がありましたが、2001年に国家公務員試験に統合されました。

「総合職」(採用30人台)、「専門職」(同50人台)、「一般職」(同60人台)の3種に分かれています。
総合職はゼネラリストで管理職や幹部職員への道があります。専門職はスペシャリストで高い語学力や専門知識を持つ実務者です。一般職は国内外で経理・総務系の仕事を担当します。

この他、他の省庁から在外公館に出向する形の外交官もいます。
他省庁の職員が国際的な活動経験を積むことができるともに、外務省にとっても専門的な知識・経験を蓄積することができるというメリットがあります。

●「外務人事審議会」[2]
学識経験者7名で構成されます。
月1回の定例会合を開催し、特命全権大使(いわゆる大使)の任免、在勤手当額の改訂、名誉総領事(下記)の任命などについて、外務大臣に意見を述べます。

●「名誉(総)領事」
在外公館が設置されていない地域において、日本人の利益の保護、外国との文化交流の促進等を図ることを目的として任命されます。
通常、設置される地域の方が任命されます(すなわち日本人ではなく、その国の人)。

●「外交青書」[3]
毎年、外務省は国際情勢の推移及び日本が行ってきた外交活動をとりまとめた「外交青書」を発行しています。

ホームページには昭和32年からの毎年の青書が公開されており、その集積はさながら外交史事典のような形になっています。
(丹念に記述を拾っていけば、わが国の政策研究のネタはたくさんありそうです。)

●「外務省人材戦略」[4]
本題の人材戦略については、あいにく本文は公開されていません。
公開されている概要のみから推測すると、「チーム外務省」が外交プロフェッショナル集団として機能することが期待されています。そのために人材育成や人事制度を改革していくとあります。

特に「臨み・学ぶ文化」、「評価し・褒める文化」、「みんなでつながり・補い合う文化」といった組織文化を重視しています。
裏返せば、それらの組織文化が現場では必ずしも浸透しきれていない場面もあるということでしょうか。

人材戦略に限りませんが、外務人事審議会の提言[5]は外務省への改善要望とも受け取れます。

●胃袋をつかむ
提言[5]には、

公邸会食を通じた人脈構築・情報収集は外交活動の基盤であり、日本の食文化や日本産品の発信という観点からも、公邸料理人が果たす役割は非常に大きい。

とあり、すでに「在外公館料理人制度」[6]が2026年1月から開始されています。

国際関係は”食の外交官”によって”胃袋をつかむ”ことが重要のようです。■

[1] 外務省 採用情報 https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/works.html
[2] 外務人事審議会について https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shingikai/jinji/shingi.html
[3] 外交青書 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/index.html
[4] 外務省人材戦略(概要) https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/101076258.pdf
[5] 外務人事審議会「外交を強力に推し進めるための強靱な組織・体制の構築に向けた提言」(2026年8月29日) https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100897146.pdf
[6] 在外公館料理人制度 https://www.mofa.go.jp/mofaj/ms/oe/pagew_000001_01611.html

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