日本で働く

(2026.02.14)
1月30日に厚生労働省より「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)が発表されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html
2007年より厚労省はすべての事業主に対して外国人労働者(特別永住者を除く)の雇用または離職の際に厚生労働省(ハローワーク)に届け出ることを義務づけました[1][2]。届ける内容は外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等です。
以来、毎年10月末時点での外国人雇用状況が発表されています。
●日本で働ける条件
外国人が国内で就労できる条件は次の5つです。
| ①専門的・技術的分野の在留資格 | |
| ①-1 技術・人文知識・国際業務 | 理学・工学・人文科学分野の高度な知識や技術を要する業務。教授、医師、弁護士、語学教師、転勤者等。 |
| ①-2 特定技能 | 日本国内の人手不足が深刻な特定産業分野(16分野)において、一定の専門性・技能(試験等で確認)を有する外国人を即戦力として受け入れる在留資格制度。2019年度から導入。介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業。 |
| ②特定活動 | 個々に許可を得る。外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等。 |
| ③技能実習 | 技能移転を通じた開発途上国への国際協力。 |
| ④資格外活動 | 留学生のいわゆるアルバイト。週28時間以内等の条件が付く。 |
| ⑤身分に基づく在留資格 | 永住者やその配偶者等、いわゆる日本人とほぼ同じ立場の人。 |
●どのくらいの人が働いているか
今回の発表資料とこれまでの一連の資料を読んでみると、いろいろと面白いことがわかりました。
外国人労働者の人数は約250万人で、2007年以降の最多を記録し、昨年との比較で11.7%の増加でした。
図1は外国人労働者の総数を10年間追ってみたグラフです。
10年間でほぼ2倍に増加しています。
2020年の新型コロナウイルス感染症の蔓延期を除いて、ひたすら単調増加の様子が見えます。

●どのような産業で雇用が増えたか
図2は産業分野別の状況を示しています。
全体としては「製造業」が多いのですが、他の分野も軒並み増加しています。最近、建設業界で外国人労働者が増えたとか、コンビニエンスストアの店員が外国人になったという話を聞きますが、ほぼすべての産業で同じ状況だということがわかります。
「教育・学習支援業」はいわゆる語学指導員を指すと思われ、これだけはほぼ横ばいです。

●どこの国の人が増えているか
図3は国籍別の状況を示しています。
国籍別では「ベトナム」が約60万人(24%)で最多、続いて「中国」約43万人(17%)、「フィリピン」約26万人(約10%)です。
2016年頃は「中国」が占める比率が高かったのですが、その後は他の国が急激に伸ばしてきました。
特に「ベトナム」と「その他(ミャンマー他)」が急伸して、今や「中国」を超えています。「インドネシア」、「ネパール」も増えています。
逆に「中国」、「ブラジル」、「韓国」、「ペルー」はあまり変化していません。

●どのような事業者が雇用しているか
図4は雇用している事業者の規模別グラフです。
雇用する事業所の数は約37万所で、これも過去最多でした。昨年との比較で8.5%の増加でした。
以前より中規模・大規模な事業者は外国人を積極的に雇用していましたが、今や30人未満の小規模事業者が増えています。
人手不足の影響が産業の末端まで及んでいることがわかります。

●どの産業分野でどの国の人が働いているか
図5は産業分野ごとにどのような国籍の人が働いているかをグラフ化したものです。(以下はすべて2025年10月時点でのデータです。)
「建設業」では「ベトナム」と「インドネシア」の比率が高く、「製造業」でも「ベトナム」の比率が高くなっています。
一方、「情報通信業」では「中国」、「韓国」、そして「インド」と「G7等」が続いています。ソフトウェア開発等の高いスキルが求められているということでしょう。
「宿泊業、飲食サービス業」では「ネパール」と「ミャンマー」の比率が目立ちます。
「教育、学習支援業」はほぼ語学教育関係とみなせますので、「中国」、「G7等」の比率が高くなっています。
「医療、福祉」では「ベトナム」、「フィリピン」、「ミャンマー」、「インドネシア」が目立ちます。介護の現場ではこのような国の人が増えているということでしょう。

●在留資格と国籍の関係
図6は在留資格(就労条件)の割合をまとめたものです。
「専門的・技術的分野」の資格と「特定活動」を合わせて3割強、技能実習と資格外活動(アルバイト等)で3割強、「身分に基づく資格」で1/4といった割合です。
また図7はさらに国籍別の資格比率をまとめたものです。
・「ベトナム」は「専門的・技術的分野」と「技能実習」の人が目立ちます。
・「中国」は「専門的・技術的分野」の中でも「技術・人文知識・国際業務」の領域が強いことがわかります。「韓国」、「インド」、「G7等」も似た傾向が見られます。
・「ブラジル」、「ペルー」は「身分に基づく在留資格」がほとんどを占めていることが特色です。
・「中国」、「フィリピン」、「韓国」、「タイ」、「G7等」も「身分に基づく在留資格」の割合が高いほうです。


●理念と現実
外国人の受入れ政策においては、「二分論」、すなわち、
・専門的・技術的分野においては積極的な受入れを推進し、
・それ以外の分野においては国民のコンセンサスを踏まえつつ慎重に検討
を採用しています[5]。
しかし現実には社会からの要請(たとえば介護現場での人手不足解決)に対して、行政が省令レベルで既成事実化を進めて、その後に法令を改正するというボトムアップ的な動きを進めてきた経緯があります。二分論の理念が現実によって突き崩されてきた過程ともいえます[6]。
●争点
先日の衆議院選挙※でも外国人受け入れの問題が争点の一つに挙がりました。それだけ日本国民が高い関心を抱いていることは確かです。
昨年あたりから外国人受入れに対するさまざまな意見が飛びかっていますが、いたずらに針小棒大化せず、今回の発表のように現実の数字をきちんと押さえて議論することが大事でしょう。
コンビニエンスストアのカウンターに立って日本語で応対しながら、テキパキと働く外国人を見かけると、彼らのおかげで日本の日常が回っていることを実感します。■
※第51回衆議院議員総選挙(2026年1月27日公示、2月8日投票)
[1] 「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律」(2007.8.4) https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other16/index.html
[2] 厚生労働省「10月1日から外国人雇用状況報告制度が新しくなります」(2007.10.1) https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin11/index.html
[3] 厚生労働省「日本で就労する外国人のカテゴリー」 https://www.mhlw.go.jp/content/001188821.pdf
[4] 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況について(報道発表)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/gaikokujin-koyou/06.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA3033O0Q6A130C2000000/
[5] 出入国在留管理政策懇談会第8回(2025年10月23日)資料2 外国人の受入れの基本的な在り方について https://www.moj.go.jp/isa/content/001449035.pdf
[6] 福山宏、橋本由紀「専門的・技術的分野の外国人材受入れについて」、RIETI Policy Discussion Paper Series 25-P-009(2025年6月) https://www.rieti.go.jp/jp/publications/pdp/25p009.pdf
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