しがらみのツケ

(2023.06.20)
6月12日に、税制調査会第23回(5月15日)の議事録が公開されました。
(https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/index.html)

会議の開催から1ヶ月も立っていますが、最近(第24回~第26回)は答申案作成のため非公開となっていますので、実質的に最新の議事録です。

●これまでのまとめ
税制調査会は2021年11月に岸田首相から諮問を受け、外部専門家のヒアリングをおこない、ようやく答申案まとめの段階に至りました。
この間にCOVID-19はもとより、ウクライナ情勢など急激な変化があったため、税制に対する考え方にも大きな影響がおよびました。また通奏低音のように少子高齢化、格差拡大、働き方改革のテーマがついて回ります。

●税制の難しさ
税制の難しさは、”政策方針が定まらなければ税制が決められない”という点にあります。将来に向けてどのような社会を作るか青写真があれば、それに向かって税制を変えていくことができます。逆は不可能です。

また税制の基本は「公平さ」にあります。多くの富を得た人/持つ人が相応の税を払うという原理です。消費税のように、機会に対して公平な課税もあります。また、時間に沿った公平さも必要で、制度を変えた前後で、得をした人と損をした人の格差が少ないことが求められます。急に税金が増えるショックを和らげる配慮もほしいところです。

●ツケを払う
あれやこれや、たくさんの条件を満たしながら、制度を変えるとなると、その作業はたいへんになるだろうと予想します。さらに過去の行政のツケ(たとえば所有者不明の不動産など)を払わなければなりません。日本の税制はことさら複雑です(※1)。
いろいろ細かい注文を聞きながら、多くの人の顔色をうかがって組み上げてきた今の税制の姿は、しがらみに縛りつけられて身動きのとれなくなった日本人の姿そのもののような気がします。配偶者控除のように、すでにしがらみの前提が崩れているのにもかかわらず、です。■

※1 ”我が国の租税制度 がやや複雑化しつつあることは否めない事実であり 、租税や経済を専門分野とされている学者や、税務実務家以外の方々にとっては、なかなか複雑であり、興味を持ちにくいものになっていることさえあるのかもしれないと感じている次第です。”(第23回議事録:中里会長挨拶より)


■(休載します)■
3月から約3ヶ月に渡って、政策に絡む話題をピックアップして、ブログの形で書いてきました。(読者の方がもしおられたら)感想はいかがでしょうか。
私自身は楽しみながら、書くことができました。なにより、日本の政策というものの広さや深さを、一部とはいえ知ることができたのは、たいへん為になりました。
毎日、省庁から公表される政策の情報は多様で豊富です。しかもたいていの資料は無料で入手できます。この無尽蔵な情報源を元にして、この世界をもう少し探索してみようと考えています。
ブログの書き方は自己流で、内容も浅く、文章も下手ですが、なるだけ長く続けて、修練したいと思います。

今夏はいろいろ用事が重なってしまい、毎日ブログを更新するだけの時間がしばらく取れそうもなくなりました。
勝手ながら、少し執筆を休ませていただきたいと存じます。
それではまた近いうちに。
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