砂糖年度(1)

(2026.03.29)
年度末の3月にはいつも省庁のニュースがたくさん出てきます。どれもわが国の政策にとって重要なお知らせばかりですが、多すぎて選択に困ります。
”年度”という単語は今の時期にぴったりなので、その単語のニュースを取り上げました。そうしたところ、意外にこの”年度”にまつわる話は奥が深く、3回に分けて文章を書くことにしました。
こういうテーマは掘り出し物といえます。

3月25日に農林水産省から「令和7砂糖年度の「砂糖及び異性化糖の需給見通し」について」という発表がありました。
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/chiiki/260325.html

農林水産省は法律※により、砂糖等に関して適切な価格調整を図るため、四半期毎に砂糖及び異性化糖の需給見通しを作成しています。
今回の見通し発表は1月~3月の需要・供給の実績値を集計したものです。

※「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)

●砂糖の需要・供給
まずこの発表の内容について整理してみます。
国内の令和7砂糖年度(※)における砂糖市場は、

・消費量 1,787(千トン)
・供給量 1,794(千トン)
 うち 国内産 641(千トン)、輸入 1,152(千トン)

という規模です。国内産の約2倍を輸入していることになります。

※砂糖年度とは、該当年の10月1日から翌年の9月30日までの期間です。

令和6砂糖年度と比較すると、消費量はほぼ横ばい、供給量は国内産が減り、その分輸入が増える予定ですが、合計では若干減少予定です。
国内産は北海道産てん菜糖、鹿児島産甘しゃ糖、沖縄産甘しゃ糖が代表的で、そのうち北海道産が3/4を占めています。しかしこの北海道産てん菜糖の作付面積自体が減ってきている中で、さらに高温や干ばつによる不作が重なり、産出が減少しました。

●砂糖の使い道
国内でどのような用途に砂糖が使用されているかを2015年度から2024年度までの推移図に示します。

図1. 砂糖の用途別消費動向([1]より筆者作成)

消費が多い順に菓子類、清涼飲料、パン類、家庭用があります。
菓子類、パン類はこの10年間でほぼ横ばいですが、清涼飲料と家庭用が減少を見せています。後者は健康志向による砂糖削減の影響ではないかと推測しました。(消費者人口の減少が理由ならばどの用途も一様に減少しているはず。)
2020年度にいずれの項目も減少したのは新型コロナウイルス感染症の影響であることは言うまでもありません。

●甘さ控えめの日本
図2は砂糖消費(一人当たり)の国際的な比較です。

図2. 砂糖の一人当たり消費量の国際比較([1]より引用)

図2の上ではタイ人ば年37kg以上を消費しています。一日あたり100g以上の砂糖を食べていることになります。カナダ、EU、豪州などが続きます。
ちなみに世界保健機構(WHO)の健康ガイドラインでは一日あたり砂糖25g(年9kg程度)です。
なお別の統計情報[2]ではさらにエスワティニ(113.1kg)、ベルギー(83.4kg)、グアテマラ(67.8kg)といったトンデモナイ消費国も存在するようです。
対して日本人は15.2kgで、年々低下しています(それでも一日あたり40g以上)。
中国人の一人あたり消費量は日本よりまだ少ないですが、年々増加しています。

●生活の発展と成熟の関係
この図をどのように読むかによって世界情勢の見え方は少し変わります。
一人当たりの砂糖消費量の多寡と、生活の豊かさ、健康志向の関係です。
砂糖の消費が多ければ多いほど生活が豊かになっていると見るか、減れば減るほど健康志向になっていると見るかです。
おそらく発展途上の国の場合は前者、社会が成熟して砂糖から離れつつあるのが後者といえそうです。

日本では日常で砂糖をたくさん消費している自覚がありますが、他国はわが国とは桁違いの量を消費していることがわかります。

それにしても一日に309g(=エスワティニ(年113.1kg)の場合)の砂糖を食べるというのは信じがたいので、これは統計上の異常値と見なしてよさそうです。■

[1] 令和7砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回) https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/kansho/attach/pdf/satou-40.pdf
[2] 独立行政法人農畜産業振興機構 「砂糖」統計資料【海外情報】 https://sugar.alic.go.jp/japan/data/wj-7.xls

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