政策の評価はどのようにおこなうの?

(2023.03.13)
デジタル庁の中に「政策評価に関する有識者会議」という会議があります。ここではデジタル庁の「政策評価」と、その方法の一つである「行政事業レビュー」の今後のあり方について、デジタル化という文脈の上で議論しています。その第3回(2月6日開催)の会議資料が、ようやく3月10日に公開されました。今回はこの資料を取り上げてみることにします。 (https://www.digital.go.jp/about/policy-evaluation/1ef13032-4f04-42dd-943a-3b0cedc69051/)

実は「政策評価法」という法律があって、全省庁はそれに沿って、自らの政策の効果を把握して、評価するとともに、次の政策に反映させることになっています。いわゆるPDCAサイクルのCheckとActionに相当する部分です。
政策というものは、いくつもの事業(≒予算)から成っていますが、その事業一つ一つについて、予算要求から、どこに渡り、何に使われたか、詳細に書いたレビューシートというものを毎年度作成することになっています。全省庁合わせて実に5,000件以上にもなります。このレビューシートにもとづく自己/他者点検を「行政事業レビュー」とよびます。レビューシートとその点検結果は公表されますので、国民への説明責任と透明性の確保という意義があります。
しかし、それらを作成する省庁職員の作業量は相当なものになります。左図に示したのは、そのレビューシートのひな形の、ほんの一部にすぎません。

政策評価は省庁が実行している政策すべて(非予算事業を含めた全事業)を包括的に評価するもので、進捗管理や事業レビューや重点計画まで含んでいます。行政事業レビューは政策評価の一部といえます。

毎年度のスケジュールは https://www.gyoukaku.go.jp/review/review.html に書かれています。このプロセスを繰り返しながら、行政事業レビューは2013年度から現在まで継続されています。
この節目で、国は政策評価のプロセスや考え方を変革しようとしています。
すなわち、これまでの政策評価制度は、説明責任に重きを置き、「きちんと出来ているか」を説明させる「監督者の視点」が強いものでした。今回の見直しは、「何がボトルネックとなっていて、どうすれば改善するのか」といった「政策立案者の視点」への抜本的な転換になります。(2022年12月21日 政策評価審議会会長コメント)

省庁ごとに政策評価の考え方や方法は少しずつ異なります。
デジタル庁では、これまでの政策評価と行政事業レビューの評価の仕方を見直そうとして、まず上位概念である政策評価に対応する外部有識者と、行政事業レビューに対応する外部有識者が重複しているのを一つにまとめた会議体に統合した上で、評価対象や公開範囲を分けることによって統一的かつ効率的な議論ができるようにしようとしています。
それを説明する会議資料3では、外部有識者や行政担当者の本音が、行動経済学の観点からイラスト化されていて、思わず笑ってしまいました。この手のお固い会議文書の中に、こういうページがさりげなく挿入されているのは、なかなかのものです。デジタル庁の人は頭が柔らかい。■

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