子供の安全
(2023.06.13)
6月8日に、内閣府の消費者委員会本会議(第404回)が開催されました。その報告第2回です。
(https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2023/404/shiryou/index.html)
この本会議の第2部は消費者団体のヒアリングがおこなわれました。
特定のテーマに専門的に取り組んでいるワンイッシュー型の団体、
政策提言に関わる課題に対してビジネスを通じた活動をおこなっている団体、の計4団体の話がありました。
●Safe Kids Japan
「予防できる事故による子どもの傷害や死亡」を予防するための非営利団体。1988年に米国で最初の活動が始まり、2005年に国際組織として再編されました。日本では2014年に設立。現在、世界30か国の加盟国を持つ団体に発展しています。
以下、会議での説明です。
- 3E(Environment, Education, Enforcement)が大切
- 安全衛生の世界では一番大切なのはEnvironmentとされるが、日本ではEducationが先行している
- 子供の死亡事故において「不慮の事故」は多く、件数はそれほど減っていない
- ベランダの柵乗り越えの実験をおこなったり、豆菓子のパッケージに5歳以下の子供に与えないよう注意を印刷することを要望したりしている。
- 特に最近、多発した送迎バスの置き去り事故についても、小倉内閣府特命担当大臣(当時)に要望書を渡し、その後の国の施策にほぼ反映された。(ただし米国ではブザー装置が常備されるようになっても、事故は減っていないという事実もある。)
- 消費者、企業、行政の三者が情報交換することによって、こどもの事故を減らすことができるのではないか →「こどものケガを減らすためにみんなをつなぐプラットフォーム Safe Kids」(2023年2月、東京都と協働)
- コミュニケーションの場を作ることが重要 →SNSを介した情報交換が有益
- 子供へ一方的に安全教育をするだけでなく、子供の気づきを自発的に共有する仕組みも有効ではないか
●日本におけるNPO
最近では日本においてもNPOの活動が活発になっています。社会的課題を自分たちの身の回りから解決してゆこうという考え方が基底にあるのだろうと思います。
しかし現実のNPO団体の運営は厳しいものです。楽に資金が集まるわけではないので、あちこちに資金提供(寄付)をお願いして、やっと組織を維持していると想像します。
おそらく欧米では寄付活動は日常的におこなわれており、皆がそれに慣れているという社会的背景があるのでしょう。
対して日本では祭礼など地域共通の活動に対する寄付はよく見かけますが、特定の社会問題に対しては各人はステークホルダーという意識が薄く、関与が少ない傾向にあるのではないでしょうか。「赤い羽根共同募金」には寄付を投じても、「子供の事故防止」には目が向きません。おそらくテーマが具体的で細かくなるほど、寄付の対象として分散してしまうからだろうと推測します。
「赤い羽根共同募金」の場合は、地域福祉法にもとづいて、地域福祉の推進のために寄付金が利用されます。赤い羽根の募金者にとっては、詳しいことはわからないが、何か地域の福祉に役立っている、というくらいの感覚でよいのかもしれません。
社会課題に取り組んでいる多くのNPOを支えるために、もう少し寄付集めの工夫があってもよさそうです。分野ごとにクラウドファンドをまとめて、そこに寄付を集め、団体に分配する仕組みとかあってもよいでしょう。テクノロジーによる支援は簡単にできる時代です。■