オキナワ
(2023.05.30)
5月24日に、内閣府で第38回「沖縄振興審議会」が開催されました。
(https://www8.cao.go.jp/okinawa/siryou/singikai/sinkousingikai/38/38-sinkousingikai.html)
知られているようで、知られていない沖縄県のデータを書いてみます。
●沖縄の概観
- 面積は神奈川県、東京都並み(国土の0.6%程度の小ささ)
- 県人口は鹿児島県、滋賀県並み(約147万人)
- 合計特殊出生率(※1)は1.80(全国1位)>全国平均は1.30
- 15歳未満人口の割合は16.3(全国1位)>全国平均11.6
- つまり、かなり小さい面積の中に、中くらいの県人口を抱え、かつ出生率も高めで、若者が多い。
- 海域は東西1,000km、南北400kmに拡がり、多数の離島がある。
- 狭い県内に在日米軍専用施設・区域の7割が集中している。
●現在の課題
1972年の本土復帰以降、6次にわたる沖縄振興計画の実行によって、着実に県の社会資本は整備されてきました。
県内総生産や就業者数の伸びは全国平均を上回り、観光産業やIT産業は県のリーディング産業として成長してきました。
とはいえ、まだ他県と比較すると課題も多いのが現実です。
(生活)
- 一人当たり県民所得は全国最下位(平均所得の約7割)
- 若年層(15~24歳)の失業率7.6% >全国4.4%
- 子供の貧困は依然深刻(子育て世帯に占める困窮世帯割合23.2%、10代女性の出生率7.30%)
(産業)
- いびつな産業構造(製造業が少ない4.1% <全国20.3%)
- 観光産業の伸び悩み(平均滞在日数の伸び悩み)
- IT産業もコールセンター等の労働集約型が多い
(社会資本)
- 旅客輸送の9割が自家用乗用車(公共交通機関が少ない)
- 道路延長は人口比で全国の5~6割(道路整備が不足)
●「強い沖縄経済」実現ビジョン
2022年5月に公表された「強い沖縄経済」実現ビジョン(※2)では、次の領域を強化すると宣言しています。
- 観光・リゾート →観光の質向上、ハイクラス観光客への対応、ワーケーション等の新しいモデル
- 農水産業・加工品 →消費者を意識、高付加価値化
- IT関連産業 →DX、高付加価値化やスタートアップの創出、デジタルで働き方改革
- 科学技術・産学連携 →イノベーション・エコシステム、ショーケースとしての脱炭素技術の先進地
●沖縄の勝手な将来イメージ
他県の者が沖縄を語る資格はないのかもしれませんが、沖縄に対する良いイメージを維持しつつ、豊かな沖縄を想像してみます。
- 沖縄の島に大規模な工場群が立ち並ぶ姿は想像しにくいです。さまざまなモノが沖縄の自然を破壊するのはぜったいに避けたいものです。
- 観光はこれからも重要な産業ですし、ハワイやグアムと同じくらいの魅力を持っていると思います。付加価値をどのようにつけるか、アイデアが必要です。少なくとも観光資源である自然環境や地の利を持っていますので、他の県よりも有利と思えます。外部の人から意見募集とかしてみるとおもしろいかもしれません。
- 離島での水資源確保や電力確保のために、再生可能エネルギーはじめとする新しい技術を積極的に導入するきっかけにできそうです。
- ワーケーションのような一時住民を受け入れる仕組みは面白そうです。学生や社会人でも、沖縄に一時滞在したいという人は多いでしょう。やはりソフトウェア開発や研究のような、知的生産の場として似つかわしい気がします。■
※1 15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する。(厚労省)
※2 「強い沖縄経済」の実現に向けた西銘大臣ビジョン https://www8.cao.go.jp/okinawa/etc/tsuyoiokinawa.html