新築住宅

(2023.05.22)
5月19日、国交省より「令和4年度住宅市場動向調査の結果」が発表されました。
「在宅勤務スペース」「宅配ボックス設置」などについて新たに調査しました!とのこと。
(https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000183.html)

●調査の概要
この調査は2001年度から毎年度おこなわれているもので、統計法に基づき総務大臣の承認を受けた一般統計調査です。
個人の住宅建設に関して影響を受けたことや資金調達方法等についての実態を把握し、今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的としています。

2022年度からはCOVID-19による「新しい生活様式」を反映して、「住宅取得等の過程におけるインターネット活用状況」、「在宅勤務・在宅学習スペースの状況」、「宅配ボックス設置の状況」を新たに調査項目に加えています。
2021年度中に、

  • 注文住宅(オーダーメードの新築)
  • 既存住宅(いわゆる中古住宅)
  • 分譲住宅(レディメードの新築戸建てか新築集合住宅)
  • 民間賃貸住宅
  • リフォーム住宅(元々の住宅を修繕)

のいずれかに入居した世帯を無作為抽出し、合計で3,527件から回答を得ました(郵送調査、訪問調査)。

調査項目は住宅の区分によって多少異なりますが、世帯の状況、住宅の広さや立地条件、住宅の選択理由など、住宅購入に関わる質問はほぼカバーされています。

●新築住宅の全体状況
今回の調査では、調査の対象者は住宅区分ごとに600名ずつ割り振っていますので、新築住宅件数の全体はわかりません。そこで別統計(※1)を参照してみました。
※1によると2022年の新築住宅着工の全体数は859千戸、うち戸建て(持家)は253千戸、分譲の戸建ては145千戸、分譲マンションは108千戸、貸家は345千戸となっています。
おおまかには新築の戸建て:マンション=4:1くらいでしょう。

●調査の目玉質問

在宅勤務のためのスペースについて一戸建て、分譲マンションなどでは、在宅勤務に専念できる個室を持っているのが世帯の5~6割程度
賃貸住宅ではそのような個室がないという回答が4割近くありました。
宅配ボックスの有無について一戸建てでは設置していないという回答のほうが多い
分譲集合住宅(新築)では設置が多いが、既存集合住宅では回答がちょうど半々
既存住宅を購入した人にその理由新築にこだわらない」という回答が毎年度調査からじょじょに上昇して、今回調査が最高(47.9%)。

●購入価格の状況
住宅購入価格については、回答者の平均値で次のグラフのようになっています。
購入の資金をどのように調達したか(自己資金か借入金か)も見ました。
また今回(2022年)と比較するため、2018年調査の値も引用しました。(発表資料のうち、各住宅区分の経年変化比較表の数値を使用。)
注文住宅と分譲集合住宅(マンション)を比べると、購入総額は似ているものの、分譲マンションのほうが自己資金の額が大きいという特徴が見えます。
また、たとえば注文住宅については、この5年間で1,500万円も価格が上がっています。その値上がり分は借入金の増加につながっているようです。
同じく分譲集合住宅(マンション)の場合は、5年間の値上がりは700万円程度ですが、注文住宅とは対照的に自己資金の増加に反映されています。

●住宅の選択条件は複雑
衣・食・住の中で、住宅は価格が高いこと、取得や移転に手間がかかることから、庶民にとっては大きな買い物であり、イベントになります。それゆえに選択の条件や理由は世帯ごとに異なります。
今回の調査では、たしかに在宅勤務の状況や宅配ボックスなどの追加質問が面白かったのですが、それ自体は住宅政策に大きな影響は与えないだろうと感じます。在宅勤務用の個室や宅配ボックスの有無は、必要性(職種)と住宅価格に強く結びついていて、住宅政策よりも労働政策のほうが効き目がありそうです。仕事のために住宅を選ぶことはあっても、逆は少ないのではないでしょうか。■


※1 国交省「建築着工統計調査報告(令和4年計)」(2023年1月31日)

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