自然も人もやっかい
(2023.04.04)
3月28日に、環境省から「自然再生推進法に基づく自然再生事業の進捗状況」が公表されました。
(https://www.env.go.jp/press/press_01362.html)
毎年、「自然再生推進法」にもとづいて、主務大臣(環境大臣、農林水産大臣、国土交通大臣)は、毎年、自然再生事業の進捗状況を公表することになっています。
現在、全国の自然再生事業では、27の自然再生協議会が設立され、それぞれ自然再生事業実施計画を実行しています。
●資金が重要
27の協議会の状況を1ページずつ見ていくと、さまざまな面から活発な活動がおこなわれていることがわかります。
地方公共団体や国のお墨付きがあるとはいえ、資金は自己調達しなければならないため、ほとんど、地域のボランティアに支えられている状況です。
さいわい、最近ではクラウド・ファンディングのような募金の形も認知度が高まっていますし、ふるさと納税の対象としている地方公共団体もあります。ファンドレイザーなどの資金集めの専門家の手を借りようともしています。まだ規模は小さいですが、じょじょに仕組みができつつあるようです。
●水がキーワード
各地の協議会が活動しているフィールドの多くは、湿原、湖、河川、干潟などの地帯です。自然のままに生物系を維持できるためには、やはり水が必要です。
自然再生においては、水もできるだけ自然に任せる必要がありますが、生態系の微妙なバランスを保ちつつ、以前の自然に戻すのは容易なことではありません。
●外来種は問題だが、人のほうがもっとやっかい
外来種の生物も問題です。アメリカザリガニやウシガエルのように、人がわざわざ持ち込んで増産した種を、もう要らないからと簡単に排除できるわけではありません。日本固有の種よりも、外来種のほうが増えてしまった結果、日本固有種だけで自然再生が可能かどうか、心配されます。
いったん入り込んだ外来種生物、特に昆虫や植物など小さい生物はやっかいです。一時、ヒアリがニュースとして取り上げられていましたが、その後どうなったでしょうか。もうすでに国内各地に拡散してしまったのではないかと悲観されます。
また外国産の珍獣もペットとして、堂々と取引きされています。これらの管理も心もとない状態ですが、飼い主のモラルを信じるしかありません。自宅から逃走した大型爬虫類の捕り物劇などは、ずいぶんと馬鹿げた光景に見えます。■