マンホールカード

(2023.04.05)
かつては切手収集という趣味が流行っていました。今は、切手以外にも多くの種類のカード類が、”トレーディングカード”と総称されて、収集の的になっています。野球などスポーツ選手のカード、ゲームの登場人物や妖怪?などなど。ある程度の種類があって、さらに流通数に偏りがあるもの(レア物)が収集熱を増長させるようです。

日本では”インフラカード”の分野もできています。
マンホール、ダム、発電所、砂防設備などが、カードの形で発売されています。いや、ここまで拡がっているとは、驚きです。
観光地で売っている絵葉書と同じと思えば、ある程度は納得できますが、それにしても地味な対象です。こういう物の収集家はいるのでしょうか。

4月4日に”「マンホールカード」を配布します!”という国土交通省(!)の広報が目についたので、少し興味を持って調べてみました。
(https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000525.html)

●驚きのカード数
マンホールカードは下水道広報プラットフォーム(GKP)が地方公共団体とともに作成・配布しているカード群を指します。累計で、全国656自治体・団体941種類のカードが発行され、総発行枚数は1,030万枚に達します
配布場所に行かなければもらえないため、マニアのコレクション魂をくすぐる効果があるとか。
マンホールカードの発行種類と枚数の多さに驚きましたが、それにしてもマンホールのデザインが鮮やかなこと! 毎日、足で踏みつけられている物とは思えません。海外にもデザインされたマンホールがあるそうですが、日本の種類の多さは別格らしい。こういう多様なデザインの由来はお役人の発想だったようです。

”昭和60年代になり、当時の建設省公共下水道課建設専門官が、下水道事業のイメージアップと市民アピールのために、各市町村が独自のオリジナルデザインマンホールにすることを提唱したことから、デザイン化が進み始めました。”(※1)

●広報が大事
上のGKPという団体は(※2)、
”下水道は、国民生活を足元から支える最重要インフラであるにも関わらず、年々事業規模は縮小され、優先度も低くなる傾向にあります。”
という危機感を背景として、
”下水道界が一丸となって下水道の多様な価値を再確認し、国民それぞれの層に狙いを定めてお知らせする”
ことを目的として設立されました。
マンホールカードにとどまらず、マンホールサミットとか、GKP未来会とかよばれるさまざまな広報活動をおこなっています。頑張っているな、というのが感想です。

●宝探しゲーム?
マンホールを題材としたゲームも開発されています(※3)。これは街中のマンホールや電柱のダメージ状態を撮影しながら宝探しをするというゲームで、投稿データは地方公共団体に提供されます。エッセンシャルワーカならぬ”エッセンシャルゲーマ”を目指そうという触れ込みです。

大上段から、”下水道整備のあるべき姿”とか力むのではなく、ちょっと脇のほうから、市民の関心を集めるアイデアは、なかなかすばらしいと思います。国の政策といっても、大きなお金や多くの人を直接動かすものより、こういう遊びがかったもののほうが静かに、広く拡がっていきそうです。■

※1 一般社団法人日本グラウンドマンホール協会 https://jgma.gr.jp/history/
※2 下水道広報プラットフォーム https://www.gk-p.jp/
※3 「TEKKON」 https://game.guardians.city/

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