車両競技

(2023.05.28)
5月24日に経産省で、第18回「産業構造審議会 製造産業分科会 車両競技小委員会」が開催されました。
(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/sharyo_kyogi/018.html)

車両競技」とはすなわち競輪オートレースのことです。
競輪は自転車競技法、オートレースは小型自動車競走法に、それぞれ基づいて運営されており、主催者は地方自治体、運営統括は公益財団法人JKA。監督官庁は経済産業省です(※1)。

●経営状況
競輪、オートレースの事業とそれぞれの売上額は下の表と図の通りです。
いずれも長期的には低落傾向が続いていましたが、ここ10年ほどはインターネット販売額が急速に増加しています。特にCOVID-19によって競技場に出向けなかった客がネット購入に移ったと推測されます。

競技競技場場外券売場施行者
(地方公共団体等)
2022年度売上(内ネット販売)
競輪4369451兆908億円8,551億円
オートレース6571,075億円864億円
競輪の売上額推移
オートレースの売上額推移

●依存症対策
競輪、オートレースの業界はともにギャンブル依存症対策を実施しています。
2022年度の実施項目としては、購入限度額システムの導入、広告・宣伝指針の策定、場内ATMの撤去、依存症対策研修会の開催などです。特にインターネット販売に対しては購入限度額システムが、場内販売に対してはATM撤去が有効です。

●さまざまな課題と工夫
ネット販売が好調なのと裏腹に、施設の老朽化、来場者数の減少、競技場のイメージアップ、女子選手用施設の拡充などが課題として挙がっています。
ファミリー層向けの施設を設置したり、民間資金による大規模改修も進められています。すでに競馬場や競艇場で試みられているのを参考として、公営ギャンブル色を薄めて、広い意味でのレジャー施設としての役割を強化していく傾向です。
また2012年にスタートした「ガールズケイリン」(※2)は、国際競技ルールに準拠しているため、男子に比べてスポーツ性が高く、新規ファンを増やしているレースもあります。

●公営ギャンブルの位置付け
ギャンブルには、依存症のようなマイナスのイメージと、地方公共団体の収入源としてのプラスのイメージが同居していて、その運営バランスが難しいものと思います。
出口としては、スポーツくじのような気軽さ、またガールズケイリンのような新しいファン開拓の方向もあるでしょう。■

※1 競馬は農水省、競艇は国土交通省が監督官庁。
※2 第16回車両競技小委員会(2021年3月15日)にて”ガールズ”という名称の違和感が指摘され、検討の結果、キャッチフレーズについては文言削除、ガールズケイリンの名称は維持することになりました。

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