インフルエンザとインフルエンサー
(2023.03.25)
2023年3月23日に環境省は「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)第11回パートナー会議」の結果を公表しました。
https://www.env.go.jp/press/press_01320.html
渡り性水鳥保全のための国際的枠組みである「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」(以下、「EAAFP」という。)の総会である第11回パートナー会議(MOP11: the 11th Meeting of Partners)がブリスベン(豪州)で開催されました。この本会議では、渡り性水鳥の保全や渡り性水鳥の個体数推定、そして高病原性鳥インフルエンザのモニタリング等、合計11本の決定書が採択されました、とありました。
今、鳥インフルエンザは卵の価格高騰にもつながっているとして、無関心ではいられない状況です。その感染経路として警戒されているのは渡り鳥です。
以前、「WATARIDORI」というドキュメンタリー映画を観た覚えがあります。パラグライダーを使って、実際の渡り鳥の飛行に並走しながら撮影した、たいへん興味深い映像でした。鳥たちの羽音が間近に聞こえて、風と光の感触を同時体験できたような錯覚を持ちました。
しかし、気の毒にも、彼ら渡り鳥の体にウイルスが付着したまま、遠国に向かう様は、まるで化学兵器を積んだ長距離ミサイルにたとえられるかもしれません。感染した地域の鶏を殺処分する光景は、卵の問題にとどまらず、いずれヒトへの感染を視覚的に予感させます。実際に、10年ほど前には、香港、中国本土、エジプト、インドネシア、ベトナムでヒトへの感染例が見られます。けっして安心できるものではないでしょう。
かたや、インフルエンサーとはネット上での発言が世間に大きな影響を与える人、という定義らしいです。別にそういう職業や資格があるわけではなく、スポーツにせよ、料理にせよ、化粧品にせよ、その人が効用を伝えれば、それなりの宣伝効果が見込めるわけです。少し前はカリスマブロガー、アルファブロガーなどという呼び名もありました。
ただ、その影響力は時間や流行に応じて、収穫逓減のような様相になります。そこに、別の新たな切り口の発言をする人が出てくる、という繰り返しがおこなわれます。
理論的な話ではありませんが、感染症のようなものと似ている気がします。新しいタイプの病原体によって、人類がパンデミックに陥るものの、やがてそれを抑え込む、しかしまた新たなタイプが生まれて騒ぎになる、という繰り返しを思い起こします。
ネットワークが発達した現代では、一つのニュースがその真偽を問わず、たちまち全世界を駆けめぐることになります。
2023年初頭は幸いにもインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行は見られませんでした。しかしネット上には嘘かもしれない情報がまことしやかに流布し続けています。
TVで健康に良い食品と報道されるやいなや、スーパーマーケットの店頭からその食品が消え去るという話はよく耳にします。某国では、日本製のど薬が、新型コロナウイルス感染症に効き目があるという噂によって、品薄が発生しているとも聞きます。
われわれにできることは、インフルエンザに対しても、インフルエンサーに対しても、正しく情報を理解することと、適切な対処をすみやかにおこなうことだと思います。■