カメムシ
(2023.04.17)
4月12日に農水省は「令和5年度病害虫発生予報第1号」を発表しました。
(https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/120104_yoho.html)
”国は都道府県の協力の下、植物防疫法(昭和25年法律第151号)に基づき、有害動植物の防除を適時で経済的なものにするため、気象、農作物の生育状況、有害動植物の発生調査の結果等を分析し、有害動植物の発生予察及び防除対策に係る情報(発生予察情報)を提供しています。・・・・”
ということなので、実質的な調査者は都道府県の担当部署となります。
この発生予報は、今すでに病害虫が発生しているという速報ではなく、これから先にどのような病害虫が発生しそうか予想を示すものです。
対象となる主な産物は米麦、野菜、果実、花卉などです。
たとえば、茨城県からの報告では次のような状況です(部分的に引用、編集)。
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「ヒメトビウンカ」は稲の縞葉枯病のウイルスを媒介するため、早めの防除が必要です。茨城県では2月に県内2ヶ所の水田で、ヒメトビウンカの越冬世代幼虫、各188匹のサンプルを採取し、その有毒率を測定しました。その結果、保毒虫率が4.3~4.8%となり、薬剤防除を推奨する5%に近い値を示しました。
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またナシ、カキ、リンゴなどの害虫である「チャバネアオカメムシ」の越冬数を調べるために、2月上旬に山林の落葉を30リットルずつ、計42地点から採取して調査しました。その結果、越冬成虫数は平年よりやや少なめで、今年の飛来数は少なめと見られます。・・・・
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・・・・というような情報が、各県の病害虫防除所から逐次、報告されています。
各県には病害虫防除所とよばれる部署が設置されていて、それぞれ発生の予報や、防除の技術指導などにあたっています。発生予測については、対象となる虫や病原ごとにサンプル調査をおこなって、平年と比較分析をおこないます。
2月の水田から400匹近くのウンカ幼虫を採取して、一匹ずつ有毒性を測ったり、30リットルの落葉一枚一枚から、カメムシを数えたりする作業はたいへんそうです。落葉の袋が42個も並んでいる様はさぞかし壮観でしょう。ウンカやカメムシだけでなく、他にも多くの種類の害虫がいますので、それぞれ調査しなければなりません。
たいへん地味で、労力のかかる調査ですが、農家の収益にかかわる重要な情報提供です。
若手育成や農業教育を兼ねて、たとえば高校の生物クラブなどに協力してもらうことも検討に値するのではないかと思います。■