男:女:他=?:?:?

(2023.05.12)
5月11日に、男女共同参画会議(第69回、4月27日開催)の議事要旨・議事録が公開されました。

(https://www.gender.go.jp/kaigi/danjo_kaigi/gijisidai/ka69-s.html)
(議事録等は https://www.gender.go.jp/kaigi/danjo_kaigi/list.html)

今回の議題は、

  1. 「女性版骨太の方針2023」の策定に向けた検討
  2. G7サミット及び各閣僚会合における「ジェンダー主流化」の取組状況

議事録にある通り、これだけの内容の詳細を議論したわけではなく、各参加委員が一言ずつ(1分程度)話して、最後は岸田首相のまとめの言葉で締めくくるというセレモニーでした。

資料1は読めばだいたい主旨は理解できるものですし、資料2にいたってはほとんど説明もなく、G7サミットに向けていかに政府がジェンダーについて発言を強めているかをリスト化したものです。ちゃんと日本は宿題をすませています、と印象付けたいのかなと感じます。

委員の発言が政府案にどれだけ影響を与えるかはわかりませんが、各委員がそれぞれの立場で危機感を抱いている点は共感できます。議事録を思い切って要約して、次のような項目にしてみました。

  • 女性の役員や管理職を増やすことが企業収益を高めているという「知識」が広まることが必要(これについてはエビデンス・データが存在する)
  • 法整備することを明記してほしい(外国でもすでに法整備の実績がある)
  • 女性役員を増やすために候補人材層(女性管理職層)も厚くする必要
  • 具体的な予算措置をおこなってほしい
  • 女性の所得向上や経済的自立への梃入れがほしい
  • 女性に対する暴力の問題についての対処を基本方針に書き込んでほしい
  • 国立女性教育会館(NWEC)と男女共同参画センターの機能強化について、企業への働きかけ等についてやや偏っている印象なので、骨太方針としては少し広くとらえてほしい
  • 女性役員の比率だけを見るのではなく、外国人を含めた多様性を3割以上というとらえ方にしてほしい
  • 人材の固定的なとらえ方が問題であり、新卒とか中途採用という区分けも古い
  • 女性登用にあたり、クオータ制度を導入すべき
  • 地方の男尊女卑の風土を嫌って、女性が都会に出てくるという図式があり、地方の女性が今より活躍できる施策が有効
  • 従来の家族像自体が古く、選択的夫婦別姓の導入や性自認の差別禁止も早急に取り組む必要がある

岸田首相の発言でも、企業における女性登用の加速女性の所得向上・経済的自立に向けた取組強化女性が安心できる社会の実現、の3点を実現目標として挙げていました。
それについては何ら異論はありません。
ただ、上の各委員の発言にもあるように、実現目標の達成のためには、日本の社会が抱えている風土的な問題を越えていくことが求められます。
それを「ジェンダー主流化」という美しい言葉ではたして打破できるものでしょうか。疑問あるいは不安を感じます。(反面、クオータ制のような強い締めつけがあったほうが、日本では物事が早く進むか、とも少し期待していますが。)
隗より始めよ、という言い方がありますから、さっそく公務員から、実行にとりかかりましょう。■

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