デジタル時代の民主主義?

(2023.06.15)
6月8日に、内閣府の消費者委員会本会議(第404回)が開催されました。その報告第4回です。
(https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2023/404/shiryou/index.html)

この本会議の第2部は消費者団体のヒアリングがおこなわれました。
特定のテーマに専門的に取り組んでいるワンイッシュー型の団体
政策提言に関わる課題に対してビジネスを通じた活動をおこなっている団体、の計4団体の話がありました。

株式会社PoliPoli
消費者団体と言ってよいか迷いますが、政治と国民をもっと接近させることを目指したスタートアップです。
4つの製品をつくっています。
・PoliPoli:政治家に声を届けるWeb
・PoliPoli Gov:行政に声を届けるWeb(意見集めサイト)
・PoliPoli Enterprise:ルールメイキングサポートサービス
・政治ドットコム:政治情報メディア

いずれも政治家あるいは行政と、具体的な意見を持つ国民を結びつける”マーケティング”ツールのようなものと言えます。
政府が計画している事柄に対して、公式に意見を述べる場として”パブコメ”がありますが、これは審議会とその事務局に届けられるだけで、直接的に意見が政策文書に反映されるケースは稀です(たいていの場合、抽象的な文言の中に内包される形で吸収されます)。
それに比較して、PoliPoliの提供サービスはもう少しステークホルダーを絞り、意見を聞きたい側と意見を述べたい側が適度な粒度で意見交換を進めるものです。したがって国民(の一部であれ)が望むものを、具体的に政策に責任を持つ政府(の担当部署)や地方公共団体の部署が吸い上げることができます。

デジタル時代の民主主義
PoliPoliが有料で提供しているものはマーケティング・ツールであり、メディアではありません。たとえるとマーケティング調査会社と同じ機能を政治の領域で展開しているものと見えます。収集する情報に嘘偽りはないと思います。ただし偏りがないか、意見の拾い忘れがないかという確認は、利用する側にも求められます。
仕組みとしてはたいへんシンプルなものですので、なぜこのようなものがこれまでなかったのかと不思議にすら思います。
その新しさはさすがに永田町でも理解され始めて、PoliPoliは自民党、国民民主党、維新の会などが次々と導入しています。PoliPoli Govは経産省、デジタル庁、横浜市など地方公共団体などが利用しています。これらの実績の中から、「特定商取引法」の解釈変更や、「女性の生理に関する政策」で予算獲得に成果を生んだとのことです。

考えてみれば、政党と呼ばれる組織や、国会議員という人々はこれまでどのように国民の声を聞いてきたのでしょうか。おそらく支援団体を通じた意見や、個人的なつながりがある支援者の意見がそのまま転送されてきたのではないかと思います。有権者の声を聞くという意味では偏りがあります。PoliPoliのようなツールを使って、もっと多層的に声を集めることができれば、議員の人たちも柔軟に動けるのではないでしょうか。

PoliPoli代表者の伊藤和真氏は2018年に創業した時はまだ十代だったそうです。またPoliPoliには、専門的な意見を述べる有識者が300名以上も登録されていますが、その中には多くの若い世代が含まれています。政治の周辺では確実に世代交代、若手進出が起っています。■

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