消費者教育
(2023.06.14)
6月8日に、内閣府の消費者委員会本会議(第404回)が開催されました。その報告第3回です。
(https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2023/404/shiryou/index.html)
この本会議の第2部は消費者団体のヒアリングがおこなわれました。
特定のテーマに専門的に取り組んでいるワンイッシュー型の団体、
政策提言に関わる課題に対してビジネスを通じた活動をおこなっている団体、の計4団体の話がありました。
●親子消費者教育サポートセンター&Consumer Rights Japan
二つの団体の合同発表。前者の代表と後者の理事長を一人が兼務しているので、このような形の発表になったようです。
団体名 | 親子消費者教育サポートセンター | Consumer Rights Japan |
組織体 | NPO | 一般社団法人 |
設立 | 2014年 | 2020年 |
目的 | 子どもに関連する消費者教育 | グローバルな消費者問題への対処 |
意見表明 | 実践が目的であるため、意見表明は行わず | 国際消費者問題の解決に向けた意見表明を実施(海外との連携) |
共通点 | 専門家により構成されているが、各人本業あり、打ち合わせは主に夜間や土日祝日。 外部からの補助金や助成金などを利用せず。 | 同左 |
●国への要望点
- 情報量・交渉力・財力の面で、「消費者団体」は事業者に劣る。
- 「経営力」を支援するためのアドバイザリーサービスの必要性
- 「調査力」を高めるための支援の必要性(エビデンス無しで政策提言をしてしまうことを回避。確かなデータを入手するための力が必要)
- 「マーケティング力」を高めるための支援の必要性
生成AIによって実在しない偽物がまことしやかに現れるような時代に突入しました。
家庭内、学校などあらゆる機会と場を使って、消費者教育が必要になっているようです。”賢い消費者”というよりも、”騙されない消費者”をめざすことが優先になりそうです。
●複雑な消費者教育
消費者基本法とは別に、消費者教育推進法という法律があります。これは消費者教育に関し、消費者基本法に定められた事柄を具体化するものと解せます。なお所管はややこしいですが、推進法における基本方針の策定は「内閣総理大臣と文部科学大臣」となっていますが、消費者庁の設置法では、「(推進法における)消費者教育の推進に関する基本的な方針の策定及び推進に関すること」が消費者庁の所掌事務に加えられたという経緯があります。おおまかには、消費者教育の全体実務は消費者庁、学校等における教育は文科省が担当するということになっていると考えられます。
消費者庁では消費者教育推進課が窓口となっており、「消費者教育推進会議」をサポートしています。「消費者教育推進会議」においては、内閣総理大臣と文部科学大臣が「案」を作成し、閣議により決定する「消費者教育の推進に関する基本的な方針(基本方針)」に対して消費者庁が意見を述べることになっています。
文科省では総合教育政策局の男女共同参画共生社会学習・安全課(※1)が窓口になっています。学校を中心とした消費者教育について、総合教育政策局長が「消費者教育推進委員会」を招集して有識者の意見を聞く体制としています。
結局、どこで何が議論されているのか、どこが何に対して責任を負っているのか、よくわかりません。■
※1 それにしても長い課名です。そのうちに短縮されるでしょう。