自動運転でお寺参り

(2023.05.24)
5月22日に経産省より「国内初!レベル4での自動運転移動サービスの開始」が発表されました。
(https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230522004/20230522004.html)

経産省と国交省は「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(以下、「RoAD to the L4」)」を共同で推進してきました。このたび、福井県永平寺町での実証実験において、道路運送車両法に基づく自動運行装置としての認可(3月30日付け)、また、道路交通法に基づく特定自動運行の許可を取得(5月11日付け)しました。

●レベル4の自動運転とは
レベル4とは、”特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、遠隔監視のみで、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態”を意味します。
この永平寺町の実験は次のような内容です(※1、※2)。

  • 木々の深い山間の走路のため、電磁誘導線を用いた小型電動カートを活用
  • 1人の遠隔監視・操作者が3台を運行可能なレベル3の自動運行装置の認可を日本初で取得し、2021年3月から無人自動運転移動サービスとして事業運行中
  • 基本システムとして、電磁誘導線とRFID、GPSと地図、外界認識(カメラ、3D-LiDAR)、作動状態記録装置、サイバーセキュリティ対策、車内外監視装置などを装備
  • 耐久性や信頼性、事業モデルの検証などを実施。2025年度をメドに40ヶ所以上に自動運転サービスが拡がる可能性

●自動走行車両サービス「ZEN drive」
自動運転の路線は「永平寺参ろーど」と呼ばれ、京福旧永平寺線跡地を整備した約6キロメートルの遊歩道です。麓の永平寺口駅から永平寺まで約40分で移動します。
決められた道路を、ゆっくり風景を楽しみながら移動するという参詣(観光)の形態にはとても似合います。
ちなみにこのサービスを運営している「ZENコネクト」は永平寺町が主に出資している株式会社で、永平寺というブランドを観光や地域おこしのために生かして、いろいろ新しい試みを実施しています。(写真は発表資料より引用。)

●残り1割の壁
こういう自動システムは、技術のメドが立っていれば、9割まで仕上げるにはそれほど時間はかかりません。
しかし残り1割をこなすには相当の時間がかかることが多いです。そこには安全性や操作性の課題が山積していて、「たぶん大丈夫」(5/17の項目参照)の精度を極力上げる必要があるためです。
永平寺やその他の地域で、長く安定した運用実績が上がれば、「たぶん大丈夫」のお墨付きは得られそうです。■

※1 "RoAD to the L4とは RoAD to the L4とは" https://www.road-to-the-l4.go.jp/about/
※2 RoAD to the L4 シンポジウム(2021年9月8日)テーマ1説明資料 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/Automated-driving/6.1_kato.pdf

Follow me!