漬け物
(2023.04.30)
4月26日、農水省から、「漬物で野菜を食べよう!」キャンペーンが発表されました。
(https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/ryutu/230426.html)
政策絡みの発表や報告書は固い内容ばかりですので、今回は少し柔らかめの話にしました。
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野菜の1人1日当たりの平均摂取量(令和元年)は280.5gで、「健康日本21(第二次)」(厚生労働省策定)で目標とする350gに達しておらず、野菜摂取量の増加が課題となっています。
このため、農林水産省では、令和2年12月から「野菜を食べようプロジェクト」を実施しており、本目的に賛同する企業・団体等の「野菜サポーター」とともに野菜の消費拡大に取り組んでいます。
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という背景があって、農水省では日本の伝統的な食文化の一つである「漬物」を通じた野菜の消費拡大を企画しました。その「漬物で野菜を食べよう!」キャンペーンでは、生野菜換算での不足分70gを各種漬物で補うことを狙っています。(以下、チラシより)
- 一般的に漬物は、 ビタミン、ミネラル、食物繊維、乳酸菌などを含みます。生野菜よりも保存期間が長く、分量も少ないため、 手軽 に食べることができます。また、低塩化 が進んでいます。
- 20歳以上の1日当たりの 食塩摂取目標量(男性8g未満・女性7g未満) を意識しながら、普段の食事に漬物を上手に取り入れ、不足しがちな野菜を摂るようにしましょう!
●ご飯の友
たしかに和風の漬け物は日本の風土に根ざした菌が発酵を助けてくれるので、日本人の体には一番なじんでいるのかもしれません。その塩気と酸味は、水分を含んだご飯の甘みと組み合わせると最高です。
あいにくパンのような小麦系の主食とはあまり相性がよくなさそうです。パンに合うのは、やはりピクルスやザウアークラウトのようなサラダ様の漬け物でしょうか。
●気になる塩分
ちなみに野菜の不足70gの相当量と、含まれる塩分量が、チラシに一覧表となっています。
- 白菜浅漬け35g(食塩0.8g)、きゅうり浅漬け56g(食塩0.8g)などの浅漬け系は比較的、塩分が少なめ
- 野沢菜浅漬け49g(食塩1.4g)、ナス浅漬け63g(食塩1.4g)、梅干し35g(食塩1.7g)、人参ぬか漬け66.5 g(食塩1.7g)は少し塩分が多め
最近では、食塩と高血圧の直接の因果関係にいくつかの反証が出ていて、成人一日あたり8gという根拠もぐらつき始めているようです(※1)。現代の食生活は多種多様で、白米のにぎり飯に漬け物だけ、といった昔の食事様式ではないので、食事療法を除いてあまり神経質にならなくてもよいと思います。そもそも外食はもちろん、持参弁当でも塩分調整は難しそうです。むしろ、~~ばかりといった偏った食事には気をつけたほうがよさそうです。漬け物によって、ご飯をつい食べすぎることのほうが心配です。
●旅先での不養生
自宅での日常生活では、なるべく健康的なものを食べようと努めていますが、旅先で食べたり、買ったりする物はけっこういい加減に選んでいます。物珍しさもあるので、土産物として漬け物もよく購入しますが、食塩やら添加剤がしっかり入っています。自分のコントロールが効かないところでは、食品に対してずいぶん鈍感になってしまうことを自覚しています。
ムスリムやヴィーガンのように、かなり厳格な食事の条件がある人たち、また特定の食材に対してアレルギーを持つ人たちは、たとえば旅先ではさぞかし苦労しているのではないかと察します。■
※1 国際保健機関(WHO)の推奨は5g、日本高血圧学会の推奨は6g、日本人の現状値が10gだから、中間をとって8gにしたとのこと。