硬いか柔らかいか-官庁の広報誌
(2023.03.20)
基本的に政府が発行する資料類は無料です。もともと国の機関は国民の税金で運営されているので、その発行物も無料となります。ですから、「元をとる」という発想ならば、どんどん発行物を読むべきだろうと思いますし、各省庁が独自に発行している広報誌はけっこう読みでがあります。
さいわい、ほとんどの広報誌はWeb化されていますので、パソコンやスマートホンがあれば、画面で読むことは可能です。
お役所の広報誌と聞くと、ずいぶん難しそうですが、最近は一般向けを意識して、けっこうこなれた内容のものが増えています。
●財務省広報誌「ファイナンス」
一番固そうな省である財務省が出版している広報誌です。
(https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/)
最新号では、巻頭言に宮田裕章氏(慶大教授)、特集記事に古市憲寿氏(社会学者)というタレント性の高い人たちが登場しています。けっして難しい記事ばかりではありません。
●わかりやすい予算説明
この最新号が気になったのは、予算特集が組まれていたためです。2023年度予算について省庁単位、事業単位で簡単に解説されています。執筆しているは担当の主計官4名です。
新年度の予算割り振りがざっくりと理解できますし、昨年度比でどこがどれだけ増減したか、理由もわかります。
実は国の予算の各項目は「一般会計歳出予算各目明細書」とよばれ、各省ごとに別々に公開されています。(財務省のホームページから親切にも各省へリンクを貼ってくれています。https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/r5kakumokutousho.pdf)
しかし明細書の項目はとても細かい。これをいきなり見て、予算の全体像をつかむのは難しいと思います。一方、この広報誌の特集記事の解説はとてもわかりやすく、全体を手っとり早く見通すためには助かります。
新年度の予算増が目立つのは、外務省、デジタル庁などで、安全保障や政府DXへの対応強化が目玉になっていることがわかります。文部科学省関係では、大学への運営費交付金や私学助成金はほぼ横ばいを維持、量子・AI・次世代半導体など重点分野への研究投資は増額となっています。
●硬軟いろいろある広報誌
今回は用事があった「ファイナンス」をたまたま取り上げましたが、他の省庁の広報誌もそれぞれ特徴があり、硬軟取りあわせて、読みごたえがあります。むろん、すべてが読みやすいというわけでなく、論文調の難物もたまにはあります。(すべてを読んだわけではないことをお断りしておきます。)
新聞やTV、インターネットのニュースでは、政策については断片的にしか取り上げられません。今ならば、「金融緩和」とか「年収の壁問題」でしょうか。たしかにその部分だけは詳しく報道されるでしょうが、全体は見えません。一般市民が、官庁がおこなっている仕事を総体的に理解するには、広報誌はうってつけのメディアだと思います。少なくとも校閲はしっかりおこなわれているので、大きく間違った情報は紛れていないと保証も付いています。
それぞれの省庁には広報誌の担当部署があり、毎月、記事の編集に知恵を絞っているのを想像すると、ぜひいくつかを読まないともったいないと思うのですが。■
○省庁の広報誌のいくつか
政府広報オンライン(https://www.gov-online.go.jp/)
内閣府国際広報誌「KIZUNA」(https://www.japan.go.jp/kizuna/index.html)
内閣府「ぼうさい」(https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/index.html)
男女共同参画局(https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/index.html)
警察庁「焦点」(https://www.npa.go.jp/publications/booklet/index.html)
総務省「総務省」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/kouhoushi/koho/index.html)
法務省「法務省だより あかれんが」(https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho06_00087.html)
外務省 外交専門誌「外交」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/vol77.html)
財務省「ファイナンス」(https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/)
文部科学省「文部科学広報」(https://www.mext.go.jp/b_menu/kouhou/index.htm)
文化庁「ぶんかる」(https://www.bunka.go.jp/prmagazine/)
厚生労働省「厚生労働」(https://www.mhlw.go.jp/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/)(一部を除いて有料)
農林水産省「aff」(https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/index.html)
経済産業省「METI Journal オンライン」(https://journal.meti.go.jp/)….その他、各地の経済産業局の広報誌はここ(https://www.meti.go.jp/publication/)
特許庁「とっきょ」(https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/index.html)
国土交通省「国土交通」(https://www.mlit.go.jp/page/kouhoushi.html)
環境省「エコジン」(https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin_backnumber/index.html)
防衛省・自衛隊「MAMOR」(https://www.mod.go.jp/j/press/book/mamor/index.html)….(冊子は有料)、Web版は無料(https://mamor-web.jp/)
日本銀行「にちぎん」(https://www.boj.or.jp/about/koho_nichigin/index.htm)