首都圏白書

(2023.06.19)
6月13日に、国交省より令和5年版「首都圏白書」が公表されました。
(https://www.mlit.go.jp/report/press/kokudoseisaku09_hh_000133.html)

国交省はいろいろな白書を発行していますが、首都圏だけに着目した白書もあります。正式には「首都圏整備に関する年次報告」。
ここで首都圏などの言葉の定義を掲げておきます。

  • 首都圏:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県
  • 東京圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
  • 近隣3県:埼玉県、千葉県、神奈川県
  • 周辺4県:茨城県、栃木県、群馬県、山梨県
  • 関東甲信地方:首都圏に長野県を加えた9都県

●カナダよりも人が多い首都圏
人口で比較すると、首都圏人口(約4,200万人)はカナダの総人口(約3,800万人)よりも多く、イラクやウクライナと同程度の規模です。うち1,400万人は東京都民です。
首都圏の総生産量(名目)は230兆円程度で、これは韓国に相当する大きさです。
人口や総生産量で考えると、だいたい中規模の国一つに匹敵する規模といえます。

●COVID-19の影響
東京都区部の賃貸オフィスビルの空室率が掲示されていましたが、2019年以降は空室率が急上昇して下降傾向が見られません。これは2008年のリーマン・ショックに匹敵する状況です。
一方、駅の利用状況を見ると2019年度比で7割程度の混雑度で推移していたものが、2022年度に入ると8割を越える程度まで混雑が増してきています。オフィスへの通勤が増えつつあるということでしょうが、100%に戻っていないという点に意味がありそうです。

●女性の働き方
関東甲信地方の年齢階層別の女性の労働力率及び正規雇用率が掲示されています。これを見ると、2013年度と2022年度を比較して、労働力率(※1)、正規雇用率ともに若年層から高齢者まで、どの年代でも大幅な改善が見られます。ただし、依然として30歳以上の女性の正規雇用率が右肩下がりである傾向は変わっていません。

●特殊な首都圏
首都圏の人口や総生産量は、日本全体において大きな割合を占めますが、出生率は全国最低レベルに位置します。逆に50歳時の未婚率は全国最高レベルです。働くことに特化した地域ともいえます。
昭和時代と異なり、ネットワークの普及によって、必ずしも一ヶ所に集まって働く必要はなくなりつつあります。そこに工夫を凝らして、地域に展開する企業の生産性は高まると思われます。
一人一人のWell-beingという意味では、もう少し首都圏のストレスを和らげる必要がありそうです。■


※1 15歳以上人口に占める労働力人口の割合。

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