メタバース再見!

(2023.06.17)
6月14日に、総務省で「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」(第11回)が開催されました。
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/metaverse/11_siryou.html)

総務省のこの研究会は、メタバースの利活用や、Web3の市場が拡大しつつある中、メタバース等の仮想空間の利活用に関して、情報通信行政に係る課題を整理することを目的としています。

2022年8月からスタートして、十数回の会合を開き、そろそろまとめ報告書の作成に取りかかろうとしています。
この報告書では、メタバースを取り巻く環境、メタバースの分類と特徴、メタバースの課題などが整理されています。
また知的財産戦略本部でも、同様にメタバースが展開されたときの知的財産上の課題を整理して、報告書をまとめています(※1)。

●歴史は繰り返される
メタバースという言葉は比較的最近使われるようになりましたが、同じようなコンセプトはずっと以前から提案、試行されてきました。
古くはインターネット普及の初期(1990年代)の頃に、2次元や3次元の仮想空間でのチャットサービスがいくつも公開され、一部では有料化もおこなわれました。仮想空間というよりも、オンラインゲームとして発展していきました。
第二の流行の波は2000年代初頭で、"Second Life"が話題をさらった頃です。そこでは通貨が発行されたり、仮想の土地が売買されたりと、かなり先進的な社会が構築されていましたが、まもなく下火となりました。
そして今は第三の流行期と言われます。
そういう経緯を見てきた者として、私もコラム(※2)記事と同じ気恥ずかしさを感じたのは事実です。(※3も参照してください。)

●らせん状の発展
技術、特にインターネットに関わる技術のはやりすたりは頻繁です。
しかし時間とともに要素技術はどんどん進歩し、技術を取り巻く環境も変化していきます。廃れたものが装いを新たにして再登場することも多くみかけます。
短期的な成果を求める人たちは流行とともに去っていきますが、次の周回に備えて要素技術を蓄積しようとする研究者は地道に仕事を続けることでしょう。
代表的な例として、ニューラル・ネットワークの「逆伝搬」学習法を1980年代に考案した後、流行が去った後も細々と研究を続け、逆伝搬法を拡張した「深層学習」(2006年)でチューリング賞を受賞したJ.ヒントン氏が挙げられます。今、話題になっているChatGPTも深層学習が基礎となっています。
おそらくメタバースも何度も忘れられた後でまた復活することでしょう。
再見!■

※1 メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」(2023年5月) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/metaverse/pdf/ronten_seiri.pdf
※2 中田敦「ザッカーバーグが入れ込む「メタバース」、15年前の気恥ずかしいブームと何が違う」、日経クロステック(2021年10月1日) https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00692/093000065/
※3 メタバース https://harada-consulting.com/metaverse/

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