なぜ働きすぎるのか

(2023.06.01)
5月30日に、厚労省の第24回「過労死等防止対策推進協議会」が開催されました。

●推進法と大綱
過労死等防止対策推進法(2014年)にもとづいて、政府の対策をまとめたものが「過労死等の防止のための対策に関する大綱」です。その大綱の案を作成する際にはこの過労死等防止対策推進協議会の意見を聴くことになっています(同法第7条3)。
2021年5月の第20回推進協議会で、最近の大綱が決められ、今回(第24回)はその実施状況を確認し、今後の対策を討議する目的がありました。

●目標
目標としては、とにかく働きすぎをさせないということになります。週60時間以上の雇用者の割合を5%以下にすること。また勤務インターバル制度の認知率を高めること。メンタルヘルス対策を普及させること。その他、さまざまな数値目標を掲げています。
特に規模の小さい中小企業での取組みが重視されています。

●現状
・週60時間以上の雇用者の割合は8.9% >5%以下(2025年度)
・年休取得率58.3% <70%以上(2025年度)
・勤務インターバル制度の導入企業割合5.8% <15%以上(2025年度)
その他・・・・

2025年度までに達成すべき数値目標から見ると、現状の数値はほど遠い印象です。しかし、今のところ特別に有効な施策はないため、地道に普及活動を継続するしかないようです。
民間企業だけでなく、国家公務員教員なども長時間労働は問題視されており、実態は民間企業よりもっとひどいかもしれません。

まず自分の意識改革を
体力、気力がある年代の人は、どうしても働きすぎになりがちです。エンジンだけが暴走している自動車のような状態で、車体がエンジンについてゆけずに、崩壊寸前のようなイメージです。
どうも日本人には体育会的?なガンバリズムが染みついてしまっていて、苦しいことに快感を感じているのではないかとさえ憶測します。弱音を吐くことを否定する風潮です。あるいは自分の責任で仕事を達成させなければいけないという、強すぎる責任感かもしれません。
法律や制度は外側から労働者を守るものですが、働きすぎは内面の動機に依存しているので、なかなか自分でブレーキを踏めません。その結果、さまざまな疾患にかかり、最悪は過労死に至るということになります。

どれほど組織の中で将来を嘱望されている実力の持ち主であっても、いったん体を壊してしまうと、それで御破算となります。そこでさらに落ち込んでしまう人が多いのです。
もう少し、肩の力を抜いて休息をとったほうが、結果的には生産性が上がる気がします。■

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